2015年10月29日

4月から子ども子育て新制度が実施 そこに至る背景は 子ども子育て新制度セミナー報告1

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 8月20日、神戸市内で行われた保育研究所主催の「保育新制度施行半年−地方議員セミナー 子ども・子育て支援新制度 導入後の状況と行政の課題」というセミナーに参加して研修してきました。その報告を3回に分けて掲載します。

 このセミナーでは、4人の講師からそれぞれ1時間程度の講義がありました。内容は以下の通りです。
○子ども・子育て支援新制度の基本構造 逆井直紀さん(保育研究所常務理事)
○新制度と認定子ども園、保育の公定価格(保育費用)、保育者の処遇改善の視点 村山祐一さん(保育研究所所長・元帝京大学教授)
○新制度の利用者負担(保育料)について 杉山隆一さん(佛教大学教授)
○住民の願いと自治体の状況 実方伸子さん(全国保育団体連絡会事務局長)
 それぞれ1時間から1時間20分くらいの講義で、最後に4人の講師の方がそろって参加者の質疑に応えるという形で進められました。

 今年4月から、乳幼児の保育についての制度は、地方自治体が子どもの保育の必要性を認定し、保護者が保育所や「認定こども園」と直接、契約して利用する方式が新たに導入されるなど大きく変わりました。そしてそれに合わせて、「多様な保育」の名のもとに、3種類の「小規模保育」、「家庭的保育」などの多様な「地域型保育」などの新しいスタイルの保育事業が導入されています。

 これらの動きについて、セミナーではその背景や政府内で検討されてきた内容なども紹介されながら、具体的な問題点などについても詳しく明らかにされるものとなりました。
 そしてこの制度改革では、「保育の量の拡大」ということが一つの柱になり、それが進められた面もある一方で、「保育の質の確保、拡充」が追いついていない状況があること、そしてその中で問題のある保育を改めさせて、どう質的に高めていくかが今後の課題として重要になるという事が、セミナー全体を通して強調されました。

 従来の制度は、児童福祉法24条1項で、市町村の責任で保育に欠ける子(必要とする子)について、市町村の責任で保育を提供するというのが基本的な考えで、その根底には憲法の国民の生存権規定があり、それを土台に子どもの生存権も最終的には自治体の責任で保障する、またそれだけにとどまらず豊かな保育を受ける子どもの権利を自治体が担っていくという事です。

 それが民主党政権時代に始められた「社会保障改革」の議論の中では、児童福祉法第24条1項のを削除し、地方自治体の保育に対する責任をなくし、さらには「保育」という概念自体をなくしすべての「保育所」もなくして「子ども園」だけにしていく、という方向が打ち出されました。そしてそれに対する国民の批判の中で、その方向が是正され児童福祉法24条1項は残され地方自治体の保育に対する責任も明記され、「子ども園」への移行も強制ではなく任意へと、変更されています。

 そういう背景の中で始まった今回の制度では、政府内で主管する官庁が、厚生労働省、文部科学省に加えて内閣府も主管することになり、複雑な形をとることになります。講義の中では、ある問題での地方自治体の問い合わせに、厚生労働省と文部科学省と内閣府の担当課の回答がそれぞれ異なるケースもあったなど、笑い話のような事例も生じていることが紹介されました。

に続く)
posted by こうじろう at 16:55| Comment(0) | 議会の外で | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする