2020年02月07日

文化財保護に反する市長移管 19年12月議会総務委員会2

 今日の記事は2月6日の記事「スポーツ、文化・文化財を市長部局へ 19年12月議会総務委員会1」の続きです。

 07年の地方教育行政法改定では、スポーツと文化財を除く文化の行政事務権限を、地方自治体が条例によって教育委員会から市長へ移管することが可能となりました。この時の法改正では、文化財に関する事務権限を市長へ移管することは見送られています。

 その理由は、05年1月の中央教育審議会の地方教育行政部会のまとめ「地方分権時代における教育委員会の在り方について」とする報告書で、あえて別項目をたてて示されています。そこでは「文化財は国民共通の貴重な財産であり、一旦滅失・毀損すれば原状回復が不可能であるといった特性を踏まえて、開発行為との均衡を図る必要がある」として、開発を推進、担当する行政からの中立性が強く要請されると指摘した上で文化財に関する事務の移管はすべきではないと強調しています。

 ところがこれが覆されたのが、2018年の文化財保護法改悪と地方教育行政組織法改悪です。その前年、第二次安倍内閣が打ち出した「骨太の方針」で「稼ぐ文化の展開」を掲げ、「経済活性化の起爆剤としての文化芸術」を打ち出しました。その中では当時の地方創生担当大臣から「一番のがんは学芸員。観光マインドがまったくない。一掃しなければダメだ。」という暴言も生じていますが、この方針を受けて、07年の法改正では見送られた文化財の事務権限の市長移管も可能とされました。

 こういう動きに対し、多くの団体からきびしい批判の声が上げられました。17年10月には日本歴史学協会や文化財保護全国協議会、歴史科学協議会等28団体が連名で「文化財保護法の改定に対し、より慎重な議論を求める」とする声明を出し、政府の方針を「儲かる文化財とそうでない文化財という価値序列を創出しかねず、地域の文化・教育にとって特に重要な文化財であっても、短期的かつ金銭的な利益を生まなければ顧みられなくなる恐れがある」と述べ、「国民の文化的向上と世界文化の進歩に貢献することを目的として文化財を保護するために策定された文化財保護法や、17年6月に改定された文化芸術振興基本法の理念と乖離するもの」と批判しています。

 今回の京田辺市の議案提案説明では、市当局も体制変更の理由について、少子高齢化に伴う課題や行政需要の複雑化、高度化の下で効率化、スピード化をすると述べるとともに、「地域経済活性化を図るため」ということも盛り込んでいます。これは安倍内閣の言う「稼ぐ文化」の展開を無批判に受け入れるものではないでしょうか。
 委員会審議ではこれらのことを指摘したのに対し、市当局は第三者機関として文化財保護審議会を設置してチェックをしていくと繰り返すのみでした。

に続く)
posted by こうじろう at 19:45| Comment(0) | 市政 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする