2017年05月17日

「新 自治体民営化と公共サービスの質」を読んで

DSCN23830001.jpg

 今回読んだのは、自治体研究社から出版された「新 自治体民営化と公共サービスの質」という本で、著者は東京で弁護士をされている尾林芳匡さん。自治体民営化と一口に言っても様々な手法があります。古くは業務委託という形が一般的でしたが、十数年くらい前から自治体が取り扱う業務のほぼすべてを「民営化」の対象とするかのような動きが政府を中心に強められました。本書で具体的に触れられているものだけでも、指定管理者制度、PFI、地方独立行政法人、構造改革特区、市場化テスト、などあります。

 弁護士の尾林さんがなぜ、多種多様な手法で進められている自治体の民営化について、何冊かの著書を出されるほど詳しくなったのでしょうか。そのきっかけは「民営化」によって職を失った公務労働に携わる人たちからの労働問題に取り組まれるようになったから、と以前にお話しされていました。

 本来、各種の法律や条例を遵守し、働く人の権利を尊重し擁護することが最も当たり前でなければならない地方自治体の現場で、働く人が弁護士と一緒に労働争議に取り組まざるを得なくなる、この経過自身が「自治体民営化」の本質的問題点の一つを表していると思います。

 本書を読むと著者自身もそのことについて指定管理者制度に触れたところで「公の施設の管理を担う人、働き手の雇用や労働条件を著しく不安定にすることにより、民間事業者が収益をあげていく仕組み」とズバッと指摘されています。

 また本書を読むと「自治体民営化」の問題点がそこで働く人たちの労働問題だけでなく、そこに住む住民の様々な利益と反する面を多く持つことも示されています。元来、公共サービスとして地方自治体が行ってきたことものについて、そうするだけの理由があったにもかかわらず、「民間の方がともかく良い」と金科玉条のごとく民営化を推し進めることのおかしさ、矛盾について考えるきっかけになりました。

 地方自治体における「民営化」は今も様々な場面で、様々な方法で進められようとしています。それらにつってもっと徹底して勉強していくことの重要性を本書を読んで改めて感じました。
posted by こうじろう at 16:53| Comment(0) | 議会の外で | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: