2017年07月29日

戦争孤児と青い目の人形〜第4回戦争体験を語り伝え平和を考えるつどい

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 今日の午前中、京田辺・綴喜戦争展実行委員会が主催した「第4回戦争体験を語り伝え平和を考えるつどい」に参加しました。今年は、直接戦争を体験された方ではなく、現代史の研究や調査などを通じて、日本の戦争はどのようなものであったのかを発信されているお二人の方が講演されました。

 最初は立命館宇治中学高校の教員で山本宣治・現代史研究者でもある本庄豊さんです。今年5月のNHKのニュースウォッチ9でも紹介された、戦争孤児にまつわって「京都駅前の戦争孤児の体験聞き語り」と題してお話をされました。

 本庄さんは7年前にたまたま目にした一枚の写真(一番上の写真です)、終戦間もない頃に京都駅前(七条郵便局前だそうです)にたたずむ空き缶を手にした一人の戦争孤児の写真にひかれる様にして「戦争孤児たちの戦後史研究会」を立ち上げて取り組んでいます。

 第二次大戦で全国で約12万人と言われる戦争孤児が生じたそうで、その人たちが戦後、どのような生き方をされてきたのか、掘り起こして今に伝える努力をされ、またその具体的な中身などをお話されました。
 本庄さんの学校の授業で子どもたちの前で、戦争孤児としての体験を語られた方もいるそうですが、その方は当初は「過去を人に語るのは嫌、胸を張って語れるような話ではない」と言われていたそうですが、2015年の戦争法案の強行採決などがある下で、絶対に戦争は嫌だという思いで取材に応じられ、「戦争したら絶対いいことは残らない。戦争の体験はないけど被害者だ。」と語られたそうです。

 他にも親が戦争にとられ戦死して孤児になった子どもが戦時中は「靖国の孤児」と呼ばれて大切にされていたものが、戦後は「浮浪児」と呼ばれるようになった事なども指摘され、改めて戦争のむごさを感じました。
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 もう一人の方は、元小学校教員の中野恭子さんでこの方は「青い目の人形−90年前の日米友好のお話」と題して講演されました。

 「♪青い目をしたお人形は〜」の童謡でも有名な「青い目の人形」は、今から90年前にアメリカから日米友好のための「親善大使」として日本に贈られた人形のことで、一体一体名前がつけられ、着替えの洋服や「親善大使」としてのパスポートも添えて、11973体が贈られたそうです。

 その背景には当時、日本からも多くの人がアメリカへ移民し働いていましたが大恐慌によって失業者が増える中で、アメリカ国内で移民排斥の動きが出てきて「排日法」までつくられようとした時に、アメリカの親日家たちが「そんなことはすべきではない、日本と友好を深めよう。日本は人形を大事にする国だから人形を贈ろう」という運動で贈られてきたものだそうです。

 日本側では大物実業家の渋沢栄一氏がその窓口となり、政府の協力もあってアメリカから贈られてきた人形は全国各地の小学校や幼稚園などに贈られたそうです。京都府にも262体の人形が届けられ、届いたときには盛大な歓迎行事が各地、各学校で取り組まれ、小学校では校長室に大事に飾られたりしたとの事です。

 しかしそれから10年後くらい、日本が戦争への道を進み、太平洋戦争が目前に迫る頃になるとアメリカは敵国とされ、あれだけ歓迎された青い目の人形も「憎きアメリカの人形」とされ、子どもたちの目の前で竹やりで突かれたり燃やされたりするなど、各地で壊されていきます。

 しかし一方で密かに「青い目の人形」を大切に守ろうとした人たちもいました。校長室の天井に隠しておいたり、職員が持ち帰ったり、中には壁の中に隠され戦後、校舎の改修工事の際に発見されたものもあったそうです。そういう人たちの努力もあって、いま京都でも8体、全国には337体が残されているそうです。

 今日の講演では中野さんが個人で所有されている方から特別にお借りしている3体の青い目の人形も持参されています。ただ真ん中の人形は金髪の髪の毛が引き抜かれているそうで、本当に痛ましい歴史を感じます。

 アメリカから贈られた青い目の人形の答礼人形として、日本からも58体の人形が贈らたそうです。こちらは花嫁人形として、箪笥や替えの和服などを添えた豪華なもので1体あたりいまの金額で250万円相当もするもので、人形師として腕が認められた人がつくったものとの事です。

 またこの青い目の人形は、京都府南部の小学校にも贈られているそうで、中野さんが各地の町史や学校の沿革史などを調べられたところ、京田辺市でも田辺小学校に贈られたという記録があるそうです。

 日米友好の親善大使として日本に贈られ大歓迎されながら、戦争が進む中で「敵性国の人形」として多くが壊されながらも、幾つかの人形が心ある人たちによって大切に守られていった、そういうお話であり、今の時代を生きるうえでも考えさせるお話だと思いました。
posted by こうじろう at 14:38| Comment(0) | 日常の取り組み | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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